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いつでも見学可能なエアロハウスは、恵比寿で写真ライブラリー併設の食堂だ


 JR山手線の恵比寿駅から、青山方面の坂をあがったところにエアロハウスで建築されたレストランがある。「写真集食堂めぐたま」だ。木目の外壁とピンクのオーニングが印象的。引き戸を入った正面はキッチンカウンターになっていて、奥に進むとテーブルが並ぶ広いスペースだ。ここの特徴は、壁一面に写真集が並んでいること。国内外の写真集が約5000冊はあると発足メンバーのTさん。天井からテーブルに下がるペンダントライトのデザインが、本をモチーフにしている。また、店の奥は全面ガラス窓になっていて、天気の良い日には窓を全開にしてテーブルと椅子を中庭に置くそうだ。都心のオアシスのようなナチュラルなたたずまいが心地よい。

 Tさんに、エアロハウスを建てた経緯や来店客の反応をうかがった。

もともとTさんがこのスペースでやりたいことが3つあった。

1つ目は、ご主人が飯沢耕太郎氏という著名な写真評論家で、家に膨大な写真集の蔵書があり、いつかは図書館をやりたいと思っていた。壁は写真集を並べる本棚にし、みんなが手にとって見られるようにしたかった。

2つ目は、みんなが集まれる場所づくりだ。柔軟にレイアウト変更できる広いスペースを求めていた。実際にオープンしてから、これまでトークショー、ライブ、子供向け絵画教室、ヨガなどを実施し、落語会の場合は30~40名が入ることができたそうだ。またTさん自身はアーティストとして活動し、自身の個展もこの食堂で開催した。

3つ目は、ここでイベントが終わった後に食事や飲み物の提供をしたいと考えた。それはイベントに来た方々がゆったりできる空間が欲しいと思ったからだ。立食パーティー形式、着席のご飯形式など、いかようにレイアウトを変更できるつくりだ。さらに知人の料理人も心強い援軍となり、食堂の顔になってもらった。

 この建物は2014年の竣工で、プロジェクトは、2012年から動き出したという。この場所は、もともとTさんの実家の土地で、倉庫があったが老朽化してきたので、新しく建てることが検討された。さらにTさん自身の家も隣に建てる計画が同時に進んだ。

 エアロハウスは、知人の紹介で知っていたが、いくつかのハウスメーカーにも声掛けして、お母様とも相談のうえ、最終的にエアロハウスに決定した。エアロハウスの提案は、シンプルな構造なので、もしお店をやめた場合でも、どうにでも変更できる。

この界隈は、法律の問題で、木造の場合は準防火建築しか建てられないエリアで、100㎡以下の2階しかできない。エアロハウスのメリットは柱がないことで、広く使えるのもポイントが高かった。

 内装は橋本夕紀夫氏に依頼した。Tさんとは、昔からの友人だ。香港の名門ホテル・ペニンシュラ等、インテリアデザインの実績が豊富な方だ。

内装と外側を切り分けたのは、これまでのエアロハウスでは珍しいパターンだろう。

一方、隣接のTさんが暮らす母屋を訪ねてみた。中は2階建てプラスロフトスペースがあり、住居兼仕事場になっている。Tさんのお子様たちはすでに家庭を持たれていて、敷地内の別棟で暮らし、ここはご夫妻のみのスペースだ。1階は、寝室や水回りがあり、生活動線を固めた。2階は真ん中が吹き抜けで回廊のようになっていて、おもに仕事場として活用している。面積が大きい長い机があり、同時進行でいろいろな作業ができると重宝しているそうだ。ロフトは、ゲストスペースになっている。

 住んでみて、天井が高いのが良かったとTさん。建坪が15坪しかなく、2方面マンションに囲まれているが、大きなフィックス窓が天井近くにあり、吹き抜けという構造。朝は1階まで日が差し込んで、明るいから電灯をつける必要がない。不思議と狭く感じさせないとTさんは言う。来客の方々も、ゆったりできたとの感想だ。

 その母屋とお店の間に中庭があり、最初は、タイルにするという案だったが、木の温もりが好きだったので、枕木を敷くことを村井氏に教えてもらい、オーストラリア産の枕木を使用した。さらに母屋の外壁も自然なテーストを求め、準防火建築のため特殊な板となり、割高になったが、思い切って選んでよかったと振り返る。

また、最近、中庭にぶどう棚もつくったそうだ。お客さんで、実家がブドウ園の方がいて、教えてくれた。めぐたまは、ますます都会のオアシスとなっていく。

 さて、お店には、幅広いお客さんに来てもらっているという。

平日の昼は近所のビジネスマンが多い。夜や休日は近所の住人も来店。また子供づれも多い。もちろん写真好きの人もやってくるほか、近くに山種美術館があり、そこの帰りがけにコーヒー等を求めて寄る方もいて、カフェのメニューには手作りケーキや和の甘味もある。

さらに外国人のお客さんも見かけ、それは海外のメジャーな旅行ガイドブック「ロンリープラネット」はじめ、多くの海外の雑誌、単行本、ブログにも取り上げられているからだ。日本の写真集は、世界で評価が高く、来店者もアジア、中国、欧米と幅が広い。写真好きの方にとっては、国籍を問わず、興味をそそられるのだろう。

さらにエアロハウスの見学に来られるお客さんもいる。Tさんがいるときは、説明もしてもらえる。実際、建物を体感でき、自分でどの程度の空間かとイメージできるのだ。

 ところで「めぐたま」の料理は手づくりのおうちごはんで、玄米などバランスのとれたヘルシーな料理、体にも心にも優しい料理がそろう。日本の家庭料理は幅が広く、中華もエスニックも食べる。さらにメキシコやドイツなど、世界各地の料理、また明治時代、江戸時代の料理もメニューに登場して、いつ行っても楽しい食卓になりそうだ。

エアロハウスやめぐたまのお料理に興味のある方は、是非、こちらを訪ねて欲しい。

<写真集食堂 めぐたま>


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