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陶芸教室の家


横浜、元町にあるエアロハウス。住宅密集地に建つ。 横浜の観光スポットの一つ、元町商店街から徒歩数分の距離にある。 こちらのエアロハウスのオーナーは、終の住まいとして建てたWさん。陶芸家として、自宅で教室の運営もされている。「十色」という陶芸教室。伝統にこだわらない自由な作風を旨として、活動されている。

1階が陶芸教室で、2階とロフト部分が居住スペース。女性一人住まいのシンプルな構成になっている。

Wさんが、エアロハウスで家を建てたのは2011年の5月こと。東日本大震災の記憶が鮮明なころだ。

「こちらに私一人で住んでいますが、地震に強いエアロハウスだから安心でした」と当時を振り返る。

Wさんの息子さんたちは既に成人され、この地に一人暮らしだから。

もともとここの土地は、借地権付きの古い家があった。1998年に陶芸教室をするために購入して、当時、大胆にリフォームをした。

そのリフォーでは、知り合いのニュージーランド人が手を加え、キッチン、バスルームを取り除き全面教室にした。カラフルな外観もユニーク。 住まいとして近所にマンションを借り、ここは陶芸教室専用の建物として使っていた。

しかし、10数年がたち、さすがに老朽化。

そこで、息子さんの知り合いの建築家の村井氏に相談があった。 Wさんは、エアロハウスの特徴を聞き、まさにうってつけの構造だと直感した。

柱がなく広い空間。多くの壁際を棚として使える。この2点が決めてになったのだ。

陶芸教室に向いている。 設計の要望としては、1階に教室スペース、2階が居住空間というもの。

プランとしてあがってきたのは、1階の全面が土間になったもの。大きな窯がじゅうぶん置ける。

2階は居住空間で、寝室部分をロフトにした。

土地は17.56坪、建ぺい率は80%だ。そこに建築面積が11坪のエアロハウスが誕生した。

教室では、棚を有効活用している。作品や材料が置いてある。

土間には、窯が置かれ4人が作業できるスペースを確保。

教室は月曜日と火曜日以外にオープンして、10時から12時半、14時半から16時半を使う。あらかじめ予約が必要だ。 以前に比べて、土間を採用したおかげで、掃除なども楽になったという。

1階の玄関はフルオープンになり、アトリエ部分の開放性が重要と考えた設計だ。

スチールドアがアトリエの奥にあり、そこが本当の玄関口。セキュリティー面に配慮した。

さらに間口をまるでショーケースのように囲った。木の素材を活用して、密集した外界とは別世界のイメージになる。スマートな印象を前を歩く人に与える。 この木の額縁のような出っ張りを利用して、2階のテラスにした。植栽によって目隠しをして、小さな出入り口を設け、洗濯を干す場所に。

2階の居住空間は、LDKと水回りが、コンパクトにまとまっている。ロフト部分は寝室の機能のみにさせ、2階を脱衣と洗面と洗濯スペースなど生活まわりで固めた。

元町の密集地ということもあり、回りはビルに囲まれ、幹線道路も近い。高い建物に見下ろされることを配慮したプライバシーと外光の両立を目指した。 窓の位置など気を遣う。縦長の窓や床に近い雪見窓を取り入れ、視線を遮り光のみを導き入れる工夫を施した。 全体に、明るさをおさえた落ち着いた雰囲気に仕上がっている。熟年世代には心地よいそうだ。 さらに冬でも寒さが気にならないとWさん。外断熱の効果だ。 年に1回、教室展を開いている。山手地区に横浜市の西洋館があり、そこのギャラリーを利用する。元気なうちは、ここでの一人暮らしをまだまだ楽しみたいそうだ。 村井氏によると、将来、代替わりした際に、カフェにも活用できるそうだ。アトリエの壁が取り払え、空間の自由度が増す。 前回の記事と同様、進化するエアロハウスが楽しみだ。


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